「自分らしく働くには」を考え続けた、MaVie志賀が起業するまでの道のり

MaVie(マヴィ)代表の志賀祥子が長年魅せられてきた「広報」という手法。会社員からフリーランス、そして起業に至るまで、さまざまなポジションで志賀はひたすら広報のスキルを磨いてきました。そして結婚や妊娠・出産というライフイベントを経て、壁にぶつかりながらも、どのような思いでキャリアアップを継続してきたのか。 ここでは MaVieのビジョンを体現する志賀のヒストリーをお伝えしたいと思います。

憧れていた広報職へのステップを登り始める

私が広報という仕事に初めて出会ったのは、とあるきっかけでご招待いただいたジュエリーやコスメブランドの新作発表会に参加したときのこと。その会場で広報担当の方がブランドの世界観を創りあげ、お客さまを魅了する現場を見て「ないものをゼロから創りあげる仕事とは、なんて魅力的なんだろう」と憧れをもつようになりました。

しかし当時は広報職は狭き門だと感じており、スキルとしてもっていた英語が活かせて、親が安心する職を……と、日系銀行で外資系金融機関とやりとりをする部署に新卒入社をしたのです。

職場はとても働きやすく、女性が長く働くにも適した環境でした。でも実際に社会に出て働くようになり、仕事に魅せられていくようになるにつれ、「働きやすい」だけでは満足がいかないようになっていきます。

「もっと自分の力を試したい」、「やっぱり、広報に挑戦したい」。そう思い事業会社への転職を目指しますが、当時は未経験採用での広報職はありませんでした。

そこでまず事業会社で経験を積むために、大手住宅関連メーカーに社長秘書として転職。社長直下で働けば、さまざまな部署や事業をまたいで組織を知ることができ、ビジネス全般について学べると考えてのことでした。

入社してからは本来の秘書業務をしっかり務めながらも、広報の仕事にも興味があると社内で発信し続けました。やはり、学生時代に見た「ゼロからなにかを創りあげる仕事」である広報をやってみたいという意欲が捨てきれなかったのです。そして発信の甲斐があり、広報を兼任させてもらえるように。ちょうど会社のリブランディングのタイミングと重なり、社内外への情報発信が多い時期だったので基礎をしっかり学ぶことができました。 

クライアントとの対談の一コマ。当時、未経験で始めた広報職。今では、専門家として企業へ助言を出来るレベルに

一方で、どうしても大きな組織のなかでは自分が理想とする「キャリア」や「将来の自分らしいワークライフバランスの実現」は難しいのでは、と感じるようになりました。ある程度レールが決まっているキャリアや、女性は産後復帰をしたとしてもワークライフバランスを保てずにやめざるを得ない環境を目の当たりに…。それであれば、これから一緒に作り上げていくようなベンチャー企業で、年齢や性別に関係なくフラットに自分を試せる環境に飛び込もうと決意したのです。 

ベンチャーで広報の醍醐味を実感しながら、女性の働き方について考えるように

前職では大手企業の広報として、いわゆる「守りの広報」を学び実践してきました。一転して、その後勤務したベンチャー企業では「攻めの広報」を学ぶことになります。ゼロから立ち上げた企画が初めてテレビの情報番組に取り上げられること、大手ビジネス紙に取り上げられること。顧客に良いサービスを提供できると同時に、会社の認知度向上にも貢献できて両社に喜ばれたのは、広報の醍醐味を自分の手でじかに感じた体験として、今でもよく憶えています。

広報の仕事に手応えを感じより一層仕事に没頭していた頃、ライフイベントが訪れます。それは、「結婚」です。

「広報」という仕事に没頭していたころ、訪れたライフイベント「結婚」。

このライフイベントにより、私は一時的にワークライフバランスをがらりと転換しました。 結婚を機に仕事をセーブしようと、ハードワークだったベンチャー企業から残業なし・土日休みの企業へ転職をしたのです。

なぜか当時は、「結婚したら仕事をセーブするもの」という固定観念を持っていました。夫本人からはそんなことは一切頼まれてもいないのに……(笑)自分の母親が専業主婦をしていたこともあり、きっと無意識に固定観念が植え付けられていたのだと、今ならわかります。

そして実際に仕事をセーブしてみてわかったのは、「あれ、何かが違う…!」ということでした(笑)。仕事をセーブしたことで空いた時間を家庭に使おうと考えていましたが、もともと仕事が大好きな私はだんだん物足りなくなっていたのです。そして気づくと、以前のように仕事に精を出し将来のキャリアプランを練っている自分がいました。

結婚を機に仕事をセーブしたことで、「出産しても働き続けたい」という強い思いが芽生えました。当時、26歳。30歳で第一子を出産したいと考えていたのですが、その後も長く働き続けることを考えたとき大手・ベンチャーかかわらず、働く環境は自分でつくっていくしかないことに気づいたのです。

制度はあっても、実際には運用できる環境が整っていないこともある。フタを開けてみないとわからないようなことに賭けるよりは子どもが生まれる前のDINKS期に独立し、将来の妊娠・出産の時期には理想とするバランスで働ける環境の基盤が出来ている状態にしよう。そう決意し、会社を辞めフリーランスとしてさらに仕事の幅を広げることにしました。

育児と両立しながら理想とするミッションを実現するには「起業」だった

独立を見据えたキャリアアップの道すじとしては、サービス立ち上げから広報体制の運用まで、一気通貫での経験を積むことを優先事項としました。そこで、社員数10名程度のスタートアップで、広報部門の立ち上げを経験。その後は上場ベンチャー企業で経営戦略室チームの広報責任者を務め、広報とIRの連携や広報戦略立案から広報体制の構築やメンバーの育成などに携わりました。そして、いよいよフリーランスとして活動を始めます。

「女性活躍支援」を新たな事業の軸にすべく、大学でキャリアデザインのセミナー講師なども務めるように

フリーランスとして独立した初年度はキャリアの幅を広げるため、とにかく依頼された案件はすべてお引き受けするようにしました。その中で見えてきたのは、私の強みは単発の代行業務を多くこなすことではなく、1社1社にじっくりと関わるという点でした。「とにかくメディアの露出をたくさん取ってきて!」という依頼に盲目的に応えるのではなく、「そもそも、なぜメディアに出る必要があるのか」から、膝を突き合わせて議論をした方が最終的に満足を得られることが多かったからです。

単発で関わって一時的なメディア露出ができても、本質的な効果ではない。組織に入り込んでミッション・ビジョン・バリュー、経営者の思い、事業構造への理解を深めたうえで広報の基盤を固め、活動をするほうが社内外にメリットをもたらし効果を実感できると分かったのです。このような考え方のもと、広報支援を行うフリーランスは少なかったので提供価値を認めてくださるクライアントが増えて順調に仕事は伸びていきました。

しかし、2017年に妊娠が判明してからは状況は一転。産休に入るまではペースを変えずに仕事をしようと考えていたのですが、つわりがひどく、その後も医師から安静を指示されてしまいます。また出産後は家で子どもを見ながら仕事をしようと試みましたが、考えが甘かったことを思い知らされたのです。

法律上、産前休暇は出産予定日の6週間前から取得ができます。しかし6週間前までは以前と同じように働けるのかと思いきや、妊娠初期から体調の変化が始まります。それまでと同じようにハードワークをこなせない日々。そして子どもが産まれたあとは「1人の時間」は、ほぼありません。よく赤ちゃんを膝にのせてPCに向かう画像などを見ますが、そんな優雅な在宅勤務なんて夢のまた夢。慌てて保育園を探しはじめましたが、どこも激戦で認可保育園への入園は厳しい。

「思っていたイメージと違う…」そんなことを感じながら、保育園つきシェアオフィスに入居するなど、問題を一つひとつ解決していきました。と同時に、「あらかじめ知っていれば事前に解決できたこともあったのに」と悔しい思いも湧き上がってきました。そこで、その思いを無駄にはしたくないとママのナレッジシェアコミュニティの立ち上げや女性活躍支援といったMaVieの事業へと広げていきました。

昭和の時代からほとんど変わっていない、繰り返される働くママの悩みや壁に対して、事前に知ることで防げたり対策したり、うまく乗り越えたりして、自分のことを諦めずに生きていく女性を増やしたい。そんな思いが現在の事業やコミュニティ「Mrelations」の運営につながっています。

自身の経験から感じた課題を解決したいと立ち上げた、ミレニアル世代の育児と仕事の両立を考えるコミュニティ「Mrelations」

このようにフリーランス時代を経て妊娠出産を経験し、自分のミッションや理想の事業スタイルが定まってからは自然と「起業への道すじ」ができていきました。育児と両立しながら、「企業の”らしさ”を社会に届けたい。自分のことを諦めずに生きていく女性を増やしたい」そのミッションを実現するためには、会社をつくろう。その決意が固まり、今に至っています。

ママ×経営者の強みを活かして、社会に関わっていく

こうして2019年5月。広報ブランディング支援と女性活躍支援を事業の軸に掲げ、MaVieはスタートしました。今は、専属スタッフ5名に加え、PRライター、マーケター、デザイナーなど、プロジェクト単位でアサインする専門職スタッフも含め10人を超える布陣で幅広い案件に対応できる体制を構築しています。

女性が仕事を続けていくうえで、妊娠・出産・育児はどうしてもキャリアアップのスピードを鈍らせる要因になりがちです。実際、私も妊娠中は思うように仕事ができず出産後も子どもの病気などで予定変更を余儀なくされることも多々ありました。

でも、私自身が母親になったこと自体が仕事にプラスに働いていることは間違いありません。自分が「ママ」という当事者になったことで、ユーザー目線の商品企画やPRブランディングのお仕事を頂けるようになり、その実績が新たな強みになりました。

直近では、「産後うつ」などの社会問題をテーマにした映画『ママをやめてもいいですか!?』の宣伝PRも担当した

また広報支援だけでなく企業や社会での女性活躍支援について、経営目線と当事者目線の両方を併せ持ってお手伝いすることもでき、事業の幅も広がっています。

ここまで読んでいただいた通り、私は最初から「起業したい!」「人の上に立ちたい!」と高い目標を掲げて来たわけではありません。もともとは専業主婦志向だった私が社会に出て、仕事そのものに、「広報」という領域に、魅せられて突き進んできた。その過程で、妊娠出産などのライフイベントや社会環境による壁に阻まれながら、もがいてきた。そのたびにどうやったら自分らしく働いていけるのかを考え続け、現在の私がいます。

そして今、自分自身がずっと模索してきた「自分らしい働き方」を他の誰かにも実現してほしいという思いから、MaVieのメンバーには一人ひとりの生き方にフィットする働き方で弊社に参画してもらっています。

「誰もが諦めることなく“らしさ”を追求・確立し輝くことのできる社会へ」

MaVieのミッションは、私がそうありたいと願い、歩んできた道そのもの。結婚や育児といった人生における大きな喜びが、やりたい仕事を続けることで損なわれてしまうようなことのない、誰もがその人らしく輝ける社会の実現に向けて、今後も歩みを続けていきます。