ママ向け?男性向け?消費行動が複雑化するミレニアル世代に 「選ばれる」ためのブランドコミュニケーションとは

ミレニアル世代は消費行動が複雑化しています。1980年から1995年の間に生まれたミレニアル世代は、2021年には26歳から41歳を迎えることとなり、これからの経済活動を中心となって担っていく世代。特にこの世代はデジタルツールが飛躍的な進化を遂げた時代に育ったため、インターネットやSNSを当たり前のように使いこなします。夫婦間での情報共有においても、SNSで参考リンクを送り合いディスカッションすることも多いとか。
また購買意思決定のプロセスが複雑化しているのも、この世代の特徴です。当社で実施した最新の調査によると、ミレニアル世代では何を購入するかを「夫婦で決める」ことがスタンダードになっていることが明らかになりました。
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個々のターゲットに訴求するアプローチを
当社の調査によると、40歳以上の世代では妻が購入決定権を持つことが多い「旅行」「外食・テイクアウト」「携帯通信会社」「生命・損害保険」「ペット関連」「家事代行(掃除代行等)」なども、ミレニアル世代では購入するかどうかを夫婦で決めるという割合が増加。40歳以上では夫が購入決定権を持つことが多い「テレビ・オーディオ用品」「自動車」も同様に、ミレニアル世代では夫婦で相談して購入するケースが多いことが判明しました。
購買意思決定において「夫婦で決める」がスタンダードになっている世代は、ミレニアル世代を中心に増加傾向に。となると、これまでとは異なる視点からのマーケティングやブランドコミュニケーションが重要になります。
例えば、旅行の宿泊先を選ぶときにミレニアル世代が重視するのは、どんなところでしょう。従来は、多くの場合において旅行費用を支払う立場にある男性の納得感を高め、競合他社との差別化を図るために、「豪華な料理」「高級感がある施設」といったイメージを打ち出すことが付加価値になると考える風潮がありました。
しかし、ここに女性の視点が加わると、それだけでは妻側の賛同を得られないことも。例えば「エステなどのリラクゼーションメニューが充実しているか」「子どもの離乳食や幼児食への対応はしてもらえるか」といったことも宿泊先選びのポイントになります。一方で子育てがひと段落したミレニアル世代の親世代との旅行を考える場合には、豪華なポイントだけではなく「エレベーターはあるか」「落ち着いている雰囲気か」というのも重要になるでしょう。
このようにターゲット設定においては「ミレニアル世代」といった大きな括りにせず、より細分化して、それぞれのターゲットごとに「選ばれる」ポイントを訴求していくことが必要です。そのため、MaVieでは女性・男性という属性だけではなく、どんなバックグラウンドなのか、どんな年代なのか、どんんなライフスタイルを送る人なのか…を想像しながらコミュニケーション設計をしていきます。単純な切り口を設定するだけではなく、ターゲット一人ひとりが抱えている多様なニーズに訴求できるアプローチ方法を考え、実行していくことが重要になるのです。
当事者視点で価値観の多様化に対応する
女性の就業比率も高まり、ダブルインカムの世帯が増加していますが、消費傾向は今までのいわゆる高級志向とは少し変わってきています。それは「本当に価値を感じるものを購入したい」「共感できるモノを購入したい」という価値観を持つ人々が増えてきているから。
例えば100円ショップで購入した便利グッズをSNSに投稿することは、今ではよく見られることです。コストパフォーマンスのよいものを見つけて活用していることを皆にシェアしていくというのも、新たな価値観から生まれた行動のひとつ。
また家事や料理の代行サービスに関しては、ミレニアル世代では「仕事と家庭の両立のため」というよりも、「代行サービスを活用することで家族や子どもとの時間を大切にしたい」という目的で利用する層が増えています。そのため、「仕事時間を確保するため」という視点からの訴求だけでは、顧客の本当のニーズに沿えなくなってしまうおそれもあります。
このように多様化する価値観のなかで効果的なアプローチをするには、当事者としての視点が欠かせません。従来の専門的観点から考えるだけではなく、「何に価値を見出すのか」という当事者視点を取り入れながら、共感を生み、消費行動を喚起するためのコミュニケーションを意識していきましょう。
ユーザーのファンコミュニケーション戦略を
インターネットやSNSを活用した情報収集が当たり前となっている現代のコミュニケーション戦略では、購入したら終わりではありません。購入したユーザー自身がその商品やサービスに満足してSNSに書き込みたくなるような仕掛けも必要です。
SNSを活用したアプローチというと、インフルエンサーを活用した新規顧客へのアプローチを思い浮かべる方が多いかもしれません。ですが、今では一般の消費者にも広告の投稿は見透かされてしまう時代。そのため一時的な広告色の強い投稿よりも、リアルな情報が重視されます。
このような点を考慮すると、商品・サービスを購入してもらうことだけをゴールにするのでは、コミュニケーション戦略としては不十分。購入後もユーザーがその商品・サービス、さらにはそれを提供している企業に対してファンになり愛着を持ち続けることができるようなユーザーエンゲージメントを構築していくことが重要になると言えるでしょう。
さまざまなターゲットに「選ばれる」存在になるには、一時的なプロモーションではなく、中長期を見据えたコミュニケーション戦略が必要です。企業と顧客個人とが「個」と「個」として継続的につながるためのコミュニケーション戦略を着実に実行していくことが、ターゲットの多様なニーズに応えることにつながり、確固たるブランディングの醸成を可能にするのです。