「料理教室」ではなく、「幼児教室」。ブランドメッセージは訴え方でサービスの成長は加速する——Hacksii高橋氏


自宅訪問型の幼児教室「ハクシノレシピ」を展開する株式会社Hacksii(東京・品川)。代表の高橋未来氏がIT企業や幼児教室、介護関連の企業などを経て2018年に起業した。自社の教育サービスを通じて、自分で考えたことを恐れずにアウトプットできる子どもの育成を掲げている。対個人や消費者向けサービスのため、事業を始めた当初から広報に注力したいと考えていた一方、専任を社内に抱えるのは難しいと判断した高橋氏は、株式会社Mavie(マヴィ)の志賀に広報支援を依頼。サービスブランディングや広報戦略を志賀の支援のもと設計した。その結果多くのメディアに取り上げられたのだが、そこには想定していた効果だけでなく、思わぬ収穫もあったという。Mavieと並走しながら得た気づきや、広報活動の重要性について深堀りする。

課題:リリース間もないサービスの認知向上
施策:ブランドメッセージの策定/戦略的プレスリリースの作成/ターゲット媒体へのメディアプロモート
結果:ターゲット媒体への露出を実現

プロジェクトサマリー
株式会社Hacksii (ハックシー)代表、高橋氏

高橋未来(たかはしみく)
教育事業を手がける株式会社Hacksii (ハックシー)代表。自宅訪問型の幼児教室「ハクシノレシピ」のサービスを2018年11月から展開する。幼児教室で講師として勤務していた時、間違えたくないと正解に囚われる子どもたちの様子を目の当たりにし、より自由な発想ができるような社会を創るため起業を決意。「正解はない」という価値観を社会へ浸透させることをミッションとする。

志賀祥子(しがしょうこ)
株式会社MaVie(マヴィ)代表。2009年に大手住宅メーカーにて社長秘書と広報を兼任し、PRキャリアをスタート。その後、上場企業からベンチャーまで複数社で広報室立ち上げや再構築、ブランディングに従事する。2015年に広報コンサルタントとして独立、2019年に起業。1児の母である自身の経験・目線を生かした広報支援、商品・サービス監修を得意とする。


ーーHacksiiさんの運営する「ハクシノレシピ」の事業内容を教えてください。

料理を用いた自宅訪問型の幼児教室「ハクシノレシピ」を2018年11月から展開しています。3歳から12歳の子どもを対象に、マンツーマンでレッスンを行います。幼児教室って、一般的にはフラッシュカード(学習教材で、単語や数字、絵を書いたカード)や100玉そろばん(1本の桁に10個の珠が通されているそろばんのこと)などを教材として使用しますが、私たちの教材は、料理です。

レシピがないので、子どもが冷蔵庫から食材を選びメニューを考え、料理、盛り付けのすべてのプロセス全体を通して、子どもの考える力を伸ばすための指導をしています。出来上がった料理を作品として、作品名を考えて発表するところも大きな特長です。保護者が不在でも利用できる上に保育園等へのお迎えサービスもあるため、ユーザーはほとんどが共働きのご家庭です。

ハクシノレシピは、一般的な料理教室のように調理技術の向上を目的としているわけではありません。自分でどの食材をどのように活用し、どんなメニューを作るのかを考えることで、正解に囚われずにチャレンジする力を身につけてもらうことを大事にしています。料理だけでなく日常生活において、子どもたちが自分で考えて行動できるようになるまでが目標です。あくまでもハクシノレシピでは、幼児教育の教材として「料理」を用いているんです。

レシピのない”ゼロ”の地点から自分で考えさせる、料理を用いた自宅訪問型の幼児教室「ハクシノレシピ」

保護者の方々は「子どもが失敗を恐れてチャレンジをしない」という悩みを多く抱えていらっしゃいます。だからこそ私たちは子どもたちのチャレンジ精神を育み、自分で考えたことを恐れずにアウトプットできるようになることを意識しています。実際に3ヶ月ほど弊社のサービスを利用いただいたお子さまをみると、はっきりと変化を感じますね。料理レッスンの最後にはできあがった料理に名前をつけて発表をする時間があるのですが、レッスンを受ける前と比較して、しっかりと話すようになった姿を見ることができました。

ーーなぜ幼児教育の分野で起業しようと思われたのでしょうか?

起業するまでIT企業や幼児教室、そして介護関連の企業で働いていました。2社目で幼児教育の講師をしていた際に、その教室独自の右脳にアプローチするメソッドを学んで。そこで考える力やポテンシャルの開花といった人間性を形成する上で、幼児期がいかに重要かを知りました。その後、別の企業で会社員をしていましたが、やはり子どもの可能性の方にフォーカスしたいと感じ、幼児教育の分野で起業しました。

幼児教室の講師時代に目の当たりにした「子どもの可能性」。ここに自分はフォーカスしたいと力強く語る

幼児教室に勤務していた頃には、保護者の育児相談をよく受けていました。そこで気がついたのは、相談内容の多くが食に関するものということ。「子どもがご飯を食べない」「好き嫌いが多い」など、皆さんさまざまな悩みを抱えていらっしゃいました。私自身も専門知識を深めるために育児セラピストと食育インストラクターの資格をとったのですが、講座を受講している際に、教育と食を結びつけることができたら面白いかもしれないと感じたのです。 

振り返ってみると新卒で初めて一人暮らしをした時に、料理はすごく頭を使う大変な作業だなと自分自身が実感していました。当時から「料理は脳の発達に効果的なのではないか」という仮説をもっていましたが、実際に実験してみると、子どもたちの脳活動を活発化させるというデータも取得することもできました。そんなふうに、これまでの自分が歩んできたキャリアのなかのさまざまな要素がつながり、ハクシノレシピのサービスが生まれました。

ーーMaVieは、サービス初期のブランディング設計から入らせていただきました。事業を始めてからすぐに広報に力を入れようと思われたのには、どのような背景がありましたか?

起業したのは2018年10月で、 2019年の年明けから志賀さんに広報支援に入っていただきました。事業をスタートさせたばかりのタイミングで専任の広報を雇うのは難しいと思いつつ、対個人や消費者向けのサービスとして認知度を上げるためには広報活動は必要不可欠だと考えていたからです。とはいっても自分にはその分野に関して、知見が全くなかったので定期的にアドバイスをいただける方を探していました。

もともと志賀さんとは面識があったのですが、広報の実績をおもちというのはもちろん、食育の資格があって、さらにユーザー層と同じママということでアドバイスにも説得力があり支援をお願いすることに決めました。またサービスへの共感度も高く、「ハクシノレシピ」の世界観や価値観を深く理解してくださっていたことも、依頼を決めた理由のひとつです。

志賀がユーザーと同じママであることが決め手となり、MaVieへの依頼を決めた

ーーMaVieが入ったことで、どのように変わっていきましたか?

まずはじめに、サービスのブランディング設計や広報戦略から着手いただきました。ハクシノレシピのサービスをターゲット層へより知ってもらうためには、どのように言語化をし、ブランディング設計をしていくかーー。まずはじめに重要なキーワード設計から着手しました。

またメディア向けのキーワードを抽出したり、創業者のプロフィールはどのように見せるのがよいかなど、客観的にアドバイスをいただきました。これは特にスタートアップに起こり得ることだと思うのですが、事業に対しての想いが大きすぎると、思い込みで事業を走らせてしまいがちです。そうなってしまった時に、社内の広報担当者も一緒に思い込みで活動を進めてしまうと、間違った方向にプロモーションをしてしまう恐れがあります。だからこそ事業がスタートしたばかりの時に、外部から客観的にアドバイスをいただき、ブランディングしていただけたのはとても良かったですね。

ーーMavieと共に広報活動に力を入れた結果、どのような効果がありましたか?

日本経済産業新聞の一面や日本経済新聞のWEB、東洋経済オンラインなど、ビジネス系のメディアに多く取り上げていただくことができました。サービス立ち上げから3、4ヶ月で大手メディアに取り上げてもらえる機会はあまりないと思います。ビジネス系メディアに多く取り上げられたのは、実は志賀さんの広報戦略あってのものでした。ビジネス紙は感度の高いご両親が購読しているのではないかと想定し、あえてママ向けメディアではなくビジネス系メディアへの広報活動に注力いただいたのです。

教育系メディアではなく、あえてビジネスメディアへの露出に注力した結果、「感度の高い保護者層」に刺さったという

最近では教育の専門誌に弊社の情報を掲載いただくことも増えましたが、過去のメディア掲載が土台になっているからこそだと感じています。これは志賀さんに「スタートアップの新サービス」という切り口ではなく、「新しい幼児教育サービス」というブランディングをしていただいたおかげですね。なにより私自身が「適切なメディアに然るべき情報を流す重要性」を理解しました。企業として初期段階でサービスのブランディングをしっかりと行ったことで、会社としてどうありたいかといった基本的な土台が形成されたように感じています。弊社のお客様に対してはもちろんのこと、ビジネスパートナーなど対法人向けの信頼度・認知度が上がったのも嬉しいポイントです。

また思いもよらない効果もありました。ハクシノレシピでは「エプロン先生」と呼ばれる講師を採用しており、彼女たちはレッスンのなかで子どもたち一人ひとりの個性を大切に引き出だす重要な役割を担っています。複数のメディア掲載が、顧客とダイレクトに接点をもつ「エプロン先生」たちの士気向上やサービスに携わる誇りにつながったんです。今でも採用時に有効なブランディングになっていると実感しています。

子どもたちの可能性を引き出すうえで欠かせない存在、「エプロン先生」

ーー今後の展開やビジョンを教えてください。

現在のハクシノレシピを、学校など教育業界のインフラにコンテンツとして展開していきたいと考えています。今は学童保育などに出張する機会もいただいておりますが、今後はこのレッスンを教育機関へ提供し、より多くの子どもたちに届くような仕組みをつくりたいです。また料理教室を設けてイベントを開催したり、ママたちがコミュニケーションを取れるようなコミュニティの場としても運営していけたら面白いですね。 

事業展開や拡大にともなって広報のあり方も変わってくるかもしれませんが、志賀さんが以前からおっしゃるように「軸はぶらさず、トレンドなどに合わせてブランディングのワードを柔軟に変えていく」方針を大切にしていこうと思っています。

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