ママ目線で新たなPRストーリーを確立し、訴求していく。食の課題解決を通して、多くの人に新たな価値を——フレンバシー播氏


「食のバリアフリー」を企業理念に掲げ、健康・ポリシー・宗教などを理由に特定の食材を避ける人向けのレストラン検索サイトや商品開発を展開するスタートアップのフレンバシー。代表の播氏は、初の自社商品である”ビーガン米粉カップ麺”の発売にあたり商品のブランディングやPRを担える外部パートナーを探していた。妊娠や出産、子育てなどライフステージの変化を経て、食生活に自然と意識を向ける傾向がある子育て中女性へ訴求をするため、ママ向けPRを得意とするMaVieに依頼をすることとなる。必要とする商品やサービスを届けるため、両社は何をしたのか。自身も1児の母であり食育の資格を持つMaVie・志賀とのパートナーシップとPR戦略について話を聞いた。

課題:新商品販売に伴い、ターゲット消費者に向けたダイレクトなPR活動がしたい

施策:プレスリリースをもとにターゲットに適した媒体への露出を狙うためメディアプロモートを行う。確実なメディア露出につなげるため、試食を兼ねた記者向け発表会・消費者向け発表会を企画から実施・運営を行う。


結果:ターゲット媒体へのメディア掲載を実現 

プロジェクトサマリー

播 太樹 (はりたいき)
株式会社フレンバシー代表取締役。神戸大学国際文化学部卒、米ジョージア大学留学。三井住友銀行で法人融資、JCIFで海外経済調査を経験後にフレンバシーを創業。「食のバリアフリー」を企業理念にWebサービスのVegewelを運営、企業や自治体のコンサルティングも行う。

志賀祥子(しがしょうこ)
株式会社MaVie(マヴィ)代表。東京都出身、1児の母。2009年に大手住宅メーカーにて社長秘書と広報を兼任。その後企業の広報責任者としてスタートアップから大手上場企業まで、数社の広報室立ち上げや再構築、ブランディングに従事する。7年間の企業広報経験を活かし、2015年に広報コンサルタントとして独立、2019年に起業。1児の母である自身の経験・目線を生かした女性・ママ向けのPRやマーケティングを得意とする。ママ向け商品・サービスのPRプロデュースやブランディング監修の実績多数。


ーーフレンバシーさんの事業内容を教えてください。

2015年の創業以降、「食のバリアフリー」を掲げてサービスを展開しています。弊社の顧客は、体質や宗教、信条などさまざまな理由で食べられないもの、食べてはいけないものがある人です。食べ物はそれ自体に良い悪いがあるというわけでなく、人によって合う合わないがあります。それが「食の制限」ということです。私たちはプラントベース(ベジタリアンやビーガン)のレストラン検索・食品通販・Webマガジンを展開する「Vegewel(ベジウェル)」の運営やレストラン向けに動物性食品の一部やすべてを避けるベジタリアン(菜食主義者)、そしてビーガン(完全菜食主義者)などに対応するメニュー開発のサポートを行っています。こうした食の制限に関して日本は海外よりも対応が大幅に遅れている一方で、訪日外国人はますます増えており、そのニーズに応えるべくサービスを強化しているところです。

2019年9月には初めて自社商品の販売をスタートしました。植物性の食材のみで作られている”ビーガン米粉カップ麺”の「Vegewel RICE NOODLES(ベジウェルライスヌードル)」です。これまで食品メーカーの開発サポートなども手掛けてきましたが、よりスピード感を持って多様な食に対応する土壌を形成していきたいという想いから、自社で商品をつくることにしました。「食の制限」に関する情報を発信して約3年が経ちましたが、国内ではまだまだ理解が進んでおらず、市場も大きくなっていないことに課題を感じています。サービスを展開するうえで根底にあるのは、ユーザーが必要としているものを、商品の形にして届けたいということ。私たちが国内市場で新たな成功事例をつくり他社の参入を促し、市場全体を盛り上げていきたいと考えています。

”ビーガン米粉カップ麺”「Vegewel RICE NOODLES(ベジウェルライスヌードル)」

ーー初めての自社製品ということですが、どのようなコンセプトで開発やブランディングを行ったのでしょうか?

商品のコンセプトやブランディングでは、大きく分けて2つのポイントにこだわりました。ひとつ目は、健康志向の人や訪日観光客、もちろんビーガンの方など商品を必要としている人にきちんと届けるということ。そのために志賀さんと議論を重ね、直感的に商品の良さが伝わるキャッチコピーを考えました。「スープまで飲み干したい!1/3日分の野菜が摂れるビーガン米粉カップ麺」というキャッチフレーズで添加物や塩分といった余分なものが入っていない特長をダイレクトに伝えています。コピーができたことで「カップ麺のスープは体に悪い」という固定概念を覆し、従来のカップ麺とは一線を画していることを伝えられたように感じています。

ふたつ目は、プレスリリースを作成する際にターゲットと利用シーンを具体的に設定したことです。商品を食べるシーンのイメージをリリース内に盛り込み、食に制限がある人だけではなく、健康志向の方や子育て中の女性など、一般の人の生活にも取り入れてもらえるよう試みました。会食続きで胃が疲れたビジネスマンのほか、家事や育児で忙しい両親が子どもと一緒に食べられるというコンセプトを盛り込んだのです。

実はこの見せ方にするのは、ママ向けPRを得意とする志賀さんならではの目線から戦略的に設計していただきました。親としては、どんなに忙しくても、なるべく子どもにはカップ麺を食べさせたくないというのが正直な気持ちです。このカップ麺は添加物がほとんど入っていないほか、野菜を多く使用しているため、授乳中のママや小さな子どもでも「スープまで」安心してお召し上がりいただるというポイントを打ち出しました。

小さな子どもでも「スープまで」飲み干せるカップ麺という打ちだしを行った

プレスリリースと記者発表会の後は、商品自体の問い合わせに加えて、弊社が保有しているデータや僕のコメントを記事内で使用したいというメディアからの連絡が増えました。今も少なくとも月に4-5件は問い合わせがあります。2020年の東京オリンピックを控えて、日本でも食事制限に関しての注目度が高まりつつあるようですね。 

ーーユーザー層と同じ”現役ママ”である志賀が入ってどのような点がよかったでしょうか?

志賀さん自身がターゲットの1つである「子どもを持つ母親」で「健康に気を使う女性」であるということ。ターゲットと属性が同じであるPRのプロにパートナーとして入っていただいたことで、ユーザーにしっかりと刺さる言葉づくりや利用シーンの考案で助けていただきました。商品の特長に関しては「育児中はお母さんたちは食事の時間があまり取れないので、3分ですぐに食べられる健康的なカップ麺はありがたい」「子どもと一緒に食べれるカップ麺はなかなかないはず」と、実体験をもつ彼女だからこそ気がついたポイントを顧客視点に立って言語化してくれました。

女性は男性と比べて、食生活を見直すタイミングやきっかけが圧倒的に多いと思います。年齢が上がるにつれて食べ物に気を使ったり、妊娠や出産を経て添加物を気にするようになったり、40代や50代では更年期を迎えて体質も大きく変化していきます。弊社の現在のメインユーザーは40代の女性が多くを占めています。やはり圧倒的に女性のほうがそういった情報への感度が高いのではないでしょうか。メイン顧客が気にすること、考えることをしっかりくみ取ってPRしていく。そこは同じ目線を持つパートナーがいてこそ成り立つ部分かなと思います。

商品を最もよく知る経営者と、ユーザー目線に立ち訴求ポイントを探るパートナー。この関係がPRには必要だ

実は当初、僕たちだけでは商品の販売にあわせて記者会見をする予定はありませんでした。しかし、志賀さんのご提案のもと開催する運びになりました。何社くらいのメディアに来てもらえるのかと最初は不安に思っていましたが、我々の想像以上に多くの媒体からお申し込みがあり、結果的にやってよかったですね。記者会見では「子どもと一緒にカップ麺が食べられるのは斬新!」という声が上がるなど、ママ向けPRの訴求がしっかりと伝わり、狙ったポイントがきちんと伝わった実感を得ましたね。きちんと発表会を行う意義を改めて感じました。

ーー経営者としてブランディングで大切にされていること、また今後の展開をお聞かせください。

ブランドを創りあげていく上で、客観性は欠かせないと考えています。経営者が自社商品やサービスはこんなにすごいんだ!と声高に伝えるよりも、第三者が客観的な魅力を発信する方がほかのユーザーの方にも興味をもっていただくことができると考えています。弊社ではインフルエンサーの方を通じた情報発信にも力を入れていますが、そのような一般の方の口コミや記者会見やプレスリリースを通じた公平な目線を持つメディアに評価をしていただくこと。そういった他者を通じた商品や情報の発信を重要視しています。

「誰もが同じテーブルを囲める世界を創る」というミッション実現に向けて、今後は自社商品のバリエーションを増やし、外食業界と組んで「食の制限」に対応できる飲食店を増やしていきたいですね。例えば、このような商品でひとりひとりの細かい食の嗜好にあわせてカスタマイズできるようにしたいと考えています。出産祝いなど贈答用のプレゼントとしてのニーズも獲得していきたいですね。

さまざまな食のニーズに応えることができる商品づくりを進めたい、と播氏

世界的にみると、プラントベース(植物性)の食事は環境への負荷の軽減といったエシカルな文脈で取り上げられることが多いですが、日本ではそのブランディングだと響きにくいと感じています。食を変えると、自分の体にどのような影響があるのか。誰もが気になる「健康」という側面からアプローチする方法を考えていきたいです。私たちが運営するポータルサイトではこれまでプラントベース(植物性)の食事などに興味を抱いていなかった人が、はじめて情報を検索するプラットフォームになってほしいです。ひとつ一つの取り組みをつなげて「食のバリアフリー」という概念を市場全体に広め、困っている人の課題を解決するし、さらには健康を志す多くの人たちに必要な商品や情報を提供し続けていきたいですね。

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