【レポート】ユーザーの絶対価値を叶えるサービスを目指し、企業としてのビジョンを固める。MaVie Night#01イベントレポート


新型コロナウイルスの拡大により、社会環境は大きく変化しつつあります。様々なビジネスシーンでオンラインの活用に注目が集まる今、従来の営業や集客方法、そして広報活動などで新しいアプローチが求められているのではないでしょうか。

そこで今回は、冷凍幼児食の宅配サービスを手がけるhomealの鬼海翔代表取締役CEOをゲストに迎え、オンラインセッション「広告費ゼロ!オンラインで集客UPを実現するブランドコミュニケーションとは」を6月2日に開催しました。MaVieではhomealの初期ブランド設計に入らせていただいております。

これまで広告を一切使わずにコロナ禍でもオンライン集客に成功している同社から、コロナ環境における経営やブランディングのほか、オンラインに強いブランドの作り方についてお伺いしました。

親子で食べる冷凍幼児食の宅配サービス

homealではあたためるだけで親子分の食事が簡単にできあがる「冷凍幼児食の宅配サービス」を展開しています。幼児食とは離乳食を卒業してから大人の食事に近づけていく準備期間の食事のこと。一般的には1歳から未就学児の6歳までの子どもが対象になります。

メニューは親子2人でピッタリサイズの健康的なメインおかずです。調味料や塩分を控えめに調理しており、子どもの孤食や個食を防ぐため、親子で同じ内容の食事に仕上げています。オンライン上でお好きな調理済み冷凍パックを選択いただき、自宅であたためるだけで一緒に簡単に食べられるサービスです。

牛肉とひよこ豆のハッシュドビーフやレバー入りミートボールのトマト煮など、調理師や管理栄養士のアドバイスのもと考案された食事は、栄養価だけでなく味も抜群です。

6歳までの幼児期は、子どもの発育にとってとても重要な時期です。というのも、記憶力や集中力を司る脳や視覚器を示す神経系は、6歳前後には約90%が完成すると言われています。そのため6歳までに何を食べるかというのは、子どもの成長に関わるとても大事なポイントなのです。

しかし食事がどんなに大切だからと言って、毎食すべてを用意するのは大変ですよね。幼児食期に必要な食事数をすべて合計すると7300食ほどになる計算ですが、仕事が終わった後に献立を考えて料理するのは一苦労。料理は奥さんに任せっきりのご家庭もあるでしょう。そういった時にhomealの冷凍幼児食をうまく活用していただき、食事の準備をすべて抱え込まないようにしていただけたら嬉しいです。

起業のきっかけは、子どもの健康を守れなかった自分のふがいなさ

自分の子どもが1歳で乳幼児湿疹になったことをきっかけに、2019年にhomealを立ち上げました。看護師の奥さんや保育士の義理の母のサポートのおかげで症状は大きく改善したものの、私は全くの戦力外で。当時は会社員として色々な企業のコンサルティングを手がけていたのですが、自分は子どもの肌の健康すら守れないのかと、ふがいなさを痛感しました。そこで子どもの健康を考えるため、体の内面から見つめ直そうと考えたのです。

調査を進めると幼児食というものの存在を知り、とても興味を抱きました。しかし色々な幼児食サービスを探しましたが、自分が満足できるものが見つからなくて。ならば自分でサービスを作ろうと起業しました。自分の今後のキャリアとしても起業に興味があったタイミングだったので、しっかりとコミットしていこうと決めました。

2019年5月から様々な検証を行い、9月に会社を設立。その後クラウドファンディングを行ったところ、目標額を大きく上回る200%の金額を達成しました。幼児食マーケットの可能性を確信した瞬間だったように思います。

一人一人の幸せの定義を考えるきっかけになった新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの影響をうけ、日常生活やビジネス環境は大きく変わろうとしています。私自身が最も感じた変化は「一人一人の幸せの定義が変わったこと」。これまでの当たり前が当たり前でなかったと認識し、周囲の人々の支えに感謝している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

homealが実現したい幸せの定義は、子どもへ愛情を伝えられるひとときを増やすことです。私は小さい頃に母親を白血病で亡くしていて、親子の時間は永遠でないと実感してきました。私が息子と一緒にいられる時間も決して当たり前ではない。だからこそ家族が子どもに愛情を伝えられる時間を阻害したくはありません。省ける手間はできるだけ省き、弊社のサービスを通じて何気ない家庭の幸せの時間を増やしていきたいと考えています。

新型コロナウイルスの拡大は、私たちのこれからの価値観をも変えていくでしょう。今後は高い年収や良い仕事といった相対的な価値ではなく、自分のものさしで決める絶対的な価値が重視されると思います。だからこそ経営者としては事業内容を考える以上に、お客さんにとっての絶対的な価値が何かを考えることこそが重要ではないでしょうか。

マグマオーシャンのオンライン市場でどのように戦うのか

新型コロナウイルスの影響で外出や外食が難しくなり、弊社のサービス需要は3〜4月の間に大きく伸びました。2020年1月のサービスリリース以降、宅配食事数は1万食を突破しています。ですが弊社は食品やEC(電子商取引)、オンライン事業者だから成長したというわけではないと感じています。同じような業界を見渡してみると、需要が伸びていない企業があるのも事実です。

オンライン市場はレッドオーシャンを通り越して、マグマオーシャンと言えるでしょう。実際に私たちが商品を販売しているe-コマースのプラットフォーム「BASE」に出品している企業数は10万社を超えています。それぞれの企業がなんとかして消費者に発見してもらうための糸口を創り出すしかない状態です。

他のサイトより少しだけ安い商品。提供価値が明確でなく、他の企業との差異が見つからないようなサービス。こういったものは今後ますます生き残れないと感じています。

オンラインで重視したいのは、ユーザーの絶対価値を叶えるリアルな体験

今後オンラインでの集客や販売で大事になってくるのが、UGCと呼ばれる「一般ユーザーによって作れられたコンテンツ」だと思います。例えば自分が実際に良いなと評価したサービスや商品は、知人や友人に自然と勧めたくなりますよね。企業側が意図的に発信するPRでなく、顧客が一ユーザーとして体験したリアルを個人のSNSなどで発信する。それが周囲の人の購入につながったり、商品やサービスを選択する際の軸になったりしていきます。

オンラインは拡散性に優れているので、UGCとの相性もばっちりです。実際に弊社のサービスをフォロワーが多いアカウントの方がツイッターでおすすめしてくださった時は、30分で20件ほどの新規注文がありました。UGCの大切さを弊社もひしひしと実感しています。

ユーザー自身が抱えている絶対的な価値を叶える体験が、提供するサービスや製品に実装できているかどうか。そして企業としてどのようなメッセージを出したいかではなく、ユーザーにどんなUGCを生み出してほしいかを考えること。これからのブランディングやマーケティングには、こういったアプローチが求められているように感じています。

特定の誰かから愛されるサービスや製品を作るために、ビジョンを明確にする

ブランディングやSNSでのコンテンツを考える以上に大切なのは、企業や事業のミッション、そしてビジョンを固めることです。企業として土台となる部分がしっかりとした後で顧客や課題を見つけ、その解決方法に向かってマーケティングの力やテクノロジーの力を組み合わせていくのが効果的でしょう。

企業や経営者がまだ十分に満足できていない段階でサービスが広まってしまうと、虚構のような姿が一人歩きしてしまうような気がしています。私自身もこれまでイベント登壇のお誘いをいただいたことがありましたが、検証段階の不完全なサービスをまだ広めたくはないと思い、お断りしたケースもありました。

残念ながらこれからしばらくの間は、新型コロナウイルスの影響が続くと思います。先が見えにくい現状で求められているのは、どういった幸せの定義に応える経営や事業を行いたいいかを考え抜き、一貫性のあるストーリーを構成することだと思います。それらが定まってから広告費をかけたマーケティングを展開するという順番でも、決して遅くはないはずです。

とにかく事業の最初の段階では、特定の誰かにとって愛されるほど良いサービスや商品の創造に集中してみてください。そしてそのために、企業や事業としてのビジョンを明確にしてみてください。私たちhomealも自分たちに課したミッションをしっかりと認識しながら、今年の後半にかけてアクセルを踏んでいきたいと思います。

次回イベントのお知らせ

次回は6月10日(水)に「広報活動ゼロ!コロナ禍でもサービスローンチ・ユーザー獲得を実現した和もんのPR戦略とは」と題して、オンライン中心のマーケティング成功事例やその裏側について迫るイベントを開催いたします。


ゲストは株式会社SEAMの石根友理恵氏。2020年4月に漬物D2Cブランド「和もん」を立ち上げ、クラウドファンディングを開始し500%達成された実績をおもちです。サービスは6月上旬リリース予定とコロナ禍のローンチになりますが、メディア掲載は10媒体を超えました。ブランドメッセージや広報戦略について、詳しくお伺いいたします。

■開催日時6月10日(水)21:00-22:00@オンライン
■登壇者 株式会社SEAM 代表取締役 石根友理恵氏
■お申込み・詳細 http://ptix.at/F3fJdz